世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果




『……そうだったの? 私、てっきりあかりは……私の事を必要としていないのかと思ってたの』
「……え?」
『いつでも私の隣で、三つ子に向き合ってくれて。いつの間にか成長していくあかりを見て……私なんかが褒めてもきっと喜ばないし、あかりは大丈夫なんだと思ってた』
「…………」
『毎日に追われすぎてあかりの誕生日を忘れた時も、どう考えても私は母親失格なのに、子供のあかりが何事もなかったかのように接してきて。ああ、あかりは私のことなんて気にしていないんだと思ったの』
「……お母さん」
『けど、ちゃんと考えたら分かることなのにね。しっかりしてるなんて言われたら、そうあらなきゃって、子供ながらにおもうわよね……』



 電話の向こうの母の声は上擦っている。
 あかりはひたすら驚いていた。あまりに気持ちの行き違いが起きていて、まるで絡まった糸がほどけるように、誤解が解けていく。



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