世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果



『……そっちにあかりを置いてきたのは、学校のこともあったけど。これまで家のことばかりで、碌に青春を過ごしていない明かりに気を遣ったつもりだったの』
「……でも、私は最初から三つ子と一緒がいいって言ってた」
『だとしても、高校時代に得る経験は、この先の人生に大きく関わる物だから。あかりがしっかりし過ぎてると思った私は、自分の為に時間を使って欲しいと思って貴方を置いてきたのよ』
「…………そうなんだ」
『……けど、変わったわね。あかり。きっとこれまでのあかりなら、こうやって本音を打ち明けてくれることなんてなかった』



 母は含み笑いをしながら、キョトン顔をするあかりに話を続ける。



『大切な人が出来たのね』
「なっ……!!」
『よかったわー、置いてきた甲斐があった。是非今度話を聞かせてちょうだい』



 電話の向こうで優しく笑う母に、顔を赤くしたあかりだったが釣られて微笑んでしまう。


 すると、電話の向こうから母が呼ばれている声がする。
 母はそれを聞いて、声を小さくした。



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