世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



「あかり、どうした────」
「おかあさん、誕生日、覚えててくれてた」
「……そっか」
「褒めてくれた、大好きだって、言ってくれた。たくさん話せた」
「よかった」



「総一郎くん、ありがとう。……ほんとにほんとに、総一郎くんが居てくれて、よかった」


 再び、あかりの言葉に湿度が含まれていく。
 しかし、今総一郎の胸を濡らすこれは、悲しみではなく嬉しい涙だ。
 あかりが頑張って切り開くことのできた、過去とお別れできた、幸せの涙。



「俺だって、あかりが居てくれて良かったって毎日思ってる。その気持ちは負けない」



 すき、だいすき。大切だ。
 悲しいも苦しいも嬉しいも楽しいも、全部全部、どんなあかりも大切で、愛おしい。
 丸ごと受け入れて、俺をお世話するあかりごと守るから。
 あかりを想う気持ちは誰にも負けないから。



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