世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



 何故スポーツアミューズメント施設にしたのか。
 隼也の頭はその言葉でいっぱいだった。


「死んじゃう、死んじゃうから! 転ぶ! 転んじゃう!」
「人は簡単に死なないから落ち着いてあかり。ほら、ここに座って」
「あ、ありがとう総一郎くん」


 誕生日デートにこの場所をあかりから総一郎に提案するくらいだから、スポーツ好きなんだろうなと思っていたのに、蓋を開けてみると運動神経を親の腹に忘れてきたんじゃないかというくらいに、あかりのそれは壊滅的だった。


 ローラースケートをやめて、ベンチまで手を引かれ生まれたての子鹿状態でやってきたあかりは、腰を下ろすとにこーっと笑った。



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