世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



 あかりの運動神経の悪さはクラスメイト達もよく知っていて、きっとスポーツアミューズメント施設に行きたいと言ったら、やめときなと止められてしまう。


 だからこそ、今日恥ずかしくても総一郎を誘って良かったと思った。
 真剣に話を聞いてくれた総一郎くん優しい! とあかりの総一郎への好感度は鰻登りだ。


 しかし総一郎は優しさとかではなく、あかりが赤面しながら照れ照れと自分の欠点を話し、上目遣いにお願いする姿を見て、脳内があかり可愛いだいしゅき……と好意がゲシュタルト崩壊し、真顔で頷くしか出来なかっただけで真剣なわけではなかった。


 総一郎と隼也の体力は衰え知らずで、あかりがヒイヒイしている今も尚、炎天下の中バスケに夢中だ。



「俺が勝ったら次の部活の帰りにゴリゴリくんな!!」
「俺が買ったらワーゲンダッツ」
「高いものたかろうとしてくんな、あっ!」



 そこから二人はバスケ部さながらの対決を始め、ギャラリーが集まるほどだった。
 いくら長身とはいえダンクをバコバコ決める二人の化け物運動神経に、あかりは驚きもせずすごーいと呑気に拍手している。



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