世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



 あかりはそれを見てもやっとした。そして顔もくしゃっとなった。
 総一郎はイケメンだと思っていたが、こうやってモテるのを初めて意識して見たからだ。
 


「私達も女二人なんで、よかったら一緒に回りませんか?」
「ここボーリングとかあるし! 人数いる方が盛り上がりますよ」
「いや、人と来てるんで」
「じゃあその人も一緒に」
「だからそれは」



 隼也がほぼ会話をしていて、総一郎は無表情でキョロキョロと辺りを見回していた。
 まるでその女子達が見えていないかの如く、会話の全てをスルーしている。


 そしてペットボトルを抱えたあかりを見つけるや否や、パァッと表情を明るくさせあかりに大股で向かっていく。
 あかりはその行動の速さに、くしゃっとした顔をやめて固まった。


 そして総一郎はあかりの目の前で立ち止まると、さっきまでの無表情は見る影もなく消え失せ、優しく蕩けた視線であかりを見下ろす。



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