世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
あかりは現役女子高生だし、何よりその弁当を作ったのは彼女だが、口数少ないクールな仮面をつけたぽやぽや男のせいで、おじさん認定されてしまった。
本人が聞いたらひっくり返るであろうが、女子達の心は無事に救われたのである。
隼也は焼きそばパンをもしゃもしゃ食べながら、唐揚げを食べて感動する総一郎に話しかける。
「お前、今回もちゃんと礼しろよ」
「……あ」
「弁当まで貰ってるんだからな。いつもの羊羹に、最中まで付けろよ」
「もちろん付ける」
「葛切りもな」
「自分の店だからって調子に乗るな」
「バレたか。とにかく、恩はちゃんと返せよ」
隼也の家は、昔ながらの和菓子屋だ。総一郎は保護される度、隼也の家でお礼を用意していた。
総一郎はこんぶのおにぎりを頬張りながら、あかりの幸せそうに自分を見つめる表情を思い出し、心がほっこりする。
また会う口実ができた。今日は部活もない。総一郎は、隼也の店からあかりの家に直行しようと心に心に決めた。