世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1




「そんなに弁当美味いの? 卵焼きちょーだい」
「取ったらボコる」
「こえ〜」



 隼也はマトモな人間だ。


 だから、もしここで総一郎を拾ったのが女子高生だったと知ったのならば、度肝を抜かれるし何も間違いがなかったのか心配する。何より、一人で礼に行かせたりしない。老人と女子高生は対応が違う。地雷を踏み抜く親友が想像できるからだ。


 自分も相手の元に行くのに付き合い、幼馴染のよしみで心から一緒に礼を言う。


 だから、まさかこのお礼がきっかけで、恩を返せという自分の言葉のせいで、話がとんとん拍子に進み、総一郎があかりの家に住み着くことなんて想像もしていない。


 それどころか、今はまだ隼也の中であかりは料理上手なおじさんである。


 そして隼也は数ヶ月後、総一郎を通してあかりと出会い、過去の自分の発言に死ぬほど後悔することになる。


 

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