世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
「はーい」
『……あの、日比野さんですか』
「はい? そうですが……」
『今朝まで、世話になってた……えっと、総一郎』
「そーいちろーくんっ?!」
あかりは驚きでその場でぴょんと飛び上がり、わたわたと手をばたつかせる。
「え? えっと、どうしたの? 忘れ物?」
「お礼を渡したくて」
「わぁ、うそ〜、ありがとう。えっと、今エントランス?」
『ドアの前にいる』
「今開けるねっ!」
あかりはすぐ玄関に向かった。そして、勢いよく扉を開くと、そこには無表情な総一郎が立っていた。あかりは会いたいと思っていた人物に会えて喜びのあまり破顔している。
よもや、尻尾をブンブン振る犬だ。
「えっと、本当にお世話になりました」
「そんなそんな、全然だよ!」
「弁当、すごい美味かった」
「わぁ、嬉しい」
総一郎は、テンプレートのお礼を伝え、和菓子の詰め合わせの入った紙袋と、保冷バッグを差し出す。