世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1




 ギリギリ義務教育を終えていない中学3年生の三つ子の弟達は、言わずもがな両親と共に田舎へとドナドナされることになり、あかりは高校にせっかく進学したんだからと持ち家のマンションに残されることとなった。


 あかりは泣いた。それはもう泣いた。あかりは今までそれはそれは甲斐甲斐しく、弟達に健やかな生活をさせるべくお世話を焼きまくっていた。


 温かいお風呂、美味しいご飯、良質な睡眠、健やかな生活は心を豊かにするを真っ当に、とにかく弟達を甘やかし可愛がり、聖母の如く育てていた。母はそんなあかりを見て子育てから手を引き父に過度の世話を焼いていた。


 あかりは、弟達を失ったらお世話を焼く相手を失ってしまう。ようするに生きがいを失う。


 そして、弟達三つ子は、姉の過剰にお世話されて育った為、地域でも有名になる程のシスコンに育っていた。


 顔はいいけど二言目にねーちゃんねーちゃんなので、三つ子と付き合うには先ず、日比野家の姉を越えなければならないという噂が三つ子の学校の女子の間で出回っていた。


 とにかく、姉離れのできていない三つ子は、引っ越しに物理的に及ぶほど抵抗しまくったが、あまりの暴れっぷりに父は顔面蒼白母は泣き出し、最終的にあかりに止められ泣きながら旅立っていった。本当に、引くほど泣いていた。母は複雑だった。


 あかりは三つ子を納めたが、本当は自分も泣き喚いて連れていって欲しいと騒ぎたかった。




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