世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
家事が一通りできすぎるあかりの家は相変わらず整っていたが、それでも一人きりのマンションの一室はこんなにも寂しい。ぽろぽろとあかりの大きな目から涙が溢れる。
誰かの為に作るご飯以外に意味を感じない。
干したてのふかふかお布団には、自分以外の誰かにすやすやと気持ちよく眠ってほしい。
柔軟剤たっぷりの良い匂いのするアイロンで整えられたシャツを誰かに着て欲しい。
ピカピカに磨き、温泉入浴剤の入った一番風呂に誰かに浸かってほしい。
そしてうとうとしたまま出てきて、髪の毛を乾かさせてほしい。
とにかくとにかく、誰かのお世話がしたい。リラックスして幸せそうな顔が見たい。させてあげたい。自分の手で、誰かの生活を整えてあげたい。
あかりの欲はどんどん深くなっていく。
ただ今6月中旬、家族が引っ越して一ヶ月半程。
あかりはもう限界だった。
うつ伏せで寝転がったまま、スマホをスイスイと弄り、SNSのタイムラインで流れてきた小型犬の動画を眺める。
「ペット、飼おうかな」
ペットでいいからお世話がしたい。癒されたいとあかりは思った。
しかし、このマンションはペット不可。あかりは枕に顔を埋め、唸った。