世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
「今日はお米だけ。お米だけお米お米お米」
まるで呪文の様に自分に言い聞かせながら、あかりは総一郎が不在の土曜の夕方、商店街に向かい住宅街を自転車で走り抜ける。
あかりはあまりスーパーを使わない。幼い頃から母に連れられ、商店街で買い物をしていたからだ。
商店街に行くと、いろんな店の店員から可愛がられているあかりは、あっちこっちから声を掛けられ、結局予定通りの買い物プラスオマケで両手いっぱいになってしまう。
本当は八百屋さんで奥さんに選んでもらった良いお野菜をたくさん買いたいし、お肉屋さんにお魚屋さんだって寄りたい。お惣菜屋さんでメンチカツを買って寄り道もしたい……。
けど、今日はお米屋さんだけ。
今まで三つ子のお世話をしているつもりでも、知らぬうちに助けられていた。その事実をあかりは噛み締める。荷物持ちは偉大な存在だ。