世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
商店街の入り口に着き、自転車を降りてアーケードを潜ると、夕食の材料を求める主婦層で結構な賑わいだった。
早足で米屋に向かおうとすると、早速、入り口付近にある八百屋のおばちゃんから声を掛けられてしまった。
「あら! あーちゃん! 良いところに来たわね!」
「アッ、お、おばちゃん……こんにちは」
「今日、大根いいの入ってるのよ? オマケに形が悪くて商品にならない野菜も付けたげるから買ってきなさい!」
「あ、あのっ」
「ほら! 早く! こっち!」
八百屋のおばちゃんは、良い人だがやや強引だ。
あかりは言葉を遮られ、店内に引き摺り込まれる。
お米だけ、なんて言っていた数分前の自分にそれは無理だと言ってやりたい。断るに断りきれない。
あかりは頭を抱えた。