世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
「次もついてくるから、言って」
「えっ、でも」
「荷物重いし。俺が一緒に来たい」
「……じゃあ、次のお買い物もお願いしようかな」
「うん」
あかりに視線を向け、こっくりと頷き僅かに口角を上げる総一郎の表情に、あかりはどこか安心する。
総一郎がたまに見せてくれるこの僅かな笑顔が、あかりは気に入っていた。
二人で商店街の入り口に向かって歩いていると、惣菜屋が目に留まる。
あかりは自転車を停め、総一郎に待っているように伝えると、店主に何やら注文をする。総一郎がその光景をずっと見ていると、数分後に両手にメンチカツを持ったあかりが戻ってきた。
「お買い物のご褒美、一緒に食べよ」
「すげ、うまそー」
「うん、すっごい美味しいの。晩御飯前だからちょっと罪悪感あるけど、今日は特別」
道の端に移動し、荷物を地面に下ろした二人はメンチカツを頬張る。
サクッとした衣に齧り付くと、じゅわっとした甘い肉汁が口の中に溢れる。ソースの絶妙な甘じょっぱさと合わさって、口の中が幸せだ。