世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



「はい、できましたよ」



 ドライヤーが終わり、髪の毛を整えられる。あかりの柔らかくて温かい手が気持ちいい。



「はい、店員さんがかっこいいと思う髪型になりましたよ」
「……ほんと?」
「いつもかっこいいけど、今日はスペシャルかっこいいです」
「うれしー……」



 少しだけうとうとしていた総一郎は舌ったらずに声を発した。時計の針はもう夜9時を指している。



「んっ……ありがと……」
「あ、もう眠いね。お布団行っちゃいな」
「んん」



 あかりは総一郎の手を引き立ち上がらせ、すっかり総一郎仕様になった客間の布団に連れて行く。


 もうほぼ意識のない総一郎が大人しく布団に入ったのを確認すると、客間の扉を閉めた。



「ふふ、任務完了」


 
 あかりは気持ちよさそうな総一郎のことを思い出し、嬉しくなる。


 心が温かく満たされたのはあかりも同じだ。


 この気持ちは、三つ子の弟達にも抱いたことのない気持ちだった。





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