世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



「すごい……気持ちいい」
「そっか。よかった」
「お世話されるのも、たまにはいいね」



 どこかうっとりとしたあかりの声に、総一郎はホッとする。


 そのままドライヤーを掛け始め、あかりは気持ちよさそうに目を閉じてされるがままになっている。


 総一郎はあかりの髪の毛をサラサラと撫でながら、ふとあることを疑問に思った。



「あかりは、いつから世話好きなの?」
「ん? んんと、いつからかぁ……えっとね」
「うん」
「私が4歳くらいで下の三つ子が生まれたんだけど、それくらいかな」
「早いな」
「あはは、なんかね……本当にあの子達が生まれたくらいは大変で、てんてこ舞いで……お父さんもお母さんもすごく大変そうで」



 あかりの声は、昔を懐かしむようなものだった。総一郎は黙って聞き入る。



「私も当時は小さかったから構って欲しい盛りだし、突然両親が取られちゃった寂しさもあって泣いてばかりいたんだけど」
「…………」
「ふとした時にお母さんが育児疲れで隠れて泣いてるの見て、幼いながらにお姉さんらしくしなきゃって思ったの」
「4歳で?」
「4歳で」



 総一郎は衝撃を受けた。


 自分が4歳の頃なんて、祖父母に両親姉二人、みんなに可愛がられ末っ子を満喫していた頃だ。自分が求める以上に与えられていたから、愛情を欲しがり泣くことなんてあまりなかった。




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