世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
総一郎は、ドライヤーを止め、あかりの話の続きを黙って聞く。
「そこからかな、手伝いで三つ子をお世話すればするほど可愛く思えたし、両親も喜んでくれた。世話を焼くことでみんなが幸せそうに笑ってくれて、私も幸せだって思えたの」
「……そっか」
「今は、世話焼きこそ私の生き甲斐です」
振り返り、にひっと笑うあかりを見て、総一郎はなんとも言えない気持ちになり、あかりの髪の毛をくしゃくしゃと撫でる。
あかりは自分の髪の毛を触り、表情を明るくした。
「気持ちよかった〜。ありがとう総一郎くん」
「俺、これからもあかりの髪の毛、乾かしたい」
「んー、たまにならお願いしようかな」
立ち上がったあかりは、ドライヤーとトリートメントを総一郎から受け取ると、脱衣所に向かい歩き出す。
総一郎はなんとなくその後を追った。なんだかもやもやする、何をどう言葉にして良いのか分からなくて、脱衣所の引き出しを開けるあかりの背中にぴったりとくっ付いてみた。