世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
壁にもたれさせ、あかりはサラリーマンのワイシャツのネクタイを外し、首元を緩める。
「ごめんなさい、こうした方が少しでも楽になるから」
「……ありがとう」
「意識、ちゃんとしてますね。よかった」
あかりはホッと胸を撫で下ろし、にこりと微笑みながらサラリーマンの顔を覗き込む。サラリーマンはその笑みを見て、目をまん丸にした。
「これ、良かったら。冷たいから飲んでくださいね。落ち着くまで休んでから動いた方がいいですよ」
「……あの、名前は」
「わ! 学校遅刻しちゃう! それじゃあ、気を付けて!」
「あっ……」
ペットボトルのスポーツドリンクをサラリーマンの手に握らせると、あかりは自転車に跨りその場から走り出す。
あかりは無遅刻無欠席、皆勤賞を目指しているから必死だ。
そんなあかりの後ろ姿を、サラリーマンは呆然と見つめていた。
「あの、制服────」
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