世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
上手く息ができない、身体が冷たい。こんな経験、あかりは初めてだった。
あまりの恐怖で座り込んでしまいたいけど、脚を止めたらあの男に捕まってしまう気がして、とにかく自転車を漕いだ。
商店街前には時間帯のせいもあり、たまたま誰も居なかった。だからきっと目撃者もいない。だからあの男は野放しだ。
あかりはやっとマンションの駐輪場に着き自転車を停めると、急いでマンション内に入り家に駆け込む。
そして扉の鍵を閉め顔を真っ青にし、ズルズルとその場に座り込んだ。それと同時に、あの男の恐ろしい顔が脳内に再生され、あかりの目からは大粒の涙が溢れる。
────こわい、どうしよう、なんであの人私の名前を知ってるの?
あかりはしばらく、その場から立ち上がることができなかった。