世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
「……もうむり」
部活帰りの夕焼け空を呆然と眺め、ふらふらとした足取りで自宅を目指すのは、与田総一郎。高校一年生の17歳。三人兄弟の末っ子だ。疲れると語彙が極端に減るのが特徴である。
今日も今日とて、バレー部の練習は激しく厳しく、総一郎はとても疲れていて眠かった。とにもかくにも眠い。今すぐ寝たい。しかし、腹も減っているし汗でベタベタする身体をシャワーで洗い流したい。
しかし、総一郎は只今理由があって一人暮らし。家に帰っても、温かいご飯もお風呂もない。
なんと、今回海外赴任が決まった父に母がついていってしまったからだ。二人の姉も大学と就職先が県外で、必然的に一人暮らし。
そして、総一郎は典型的な家事できない系男子で、家事なんて一つもしたことがなかった。
母が置いていった家電の使い方メモや、料理のレシピなんて読んでも、ほぼ理解ができない。毎日なんとかスーパーの惣菜やパンで食い繋ぎ、シャワーを浴び眠る日々。しかし疲れは取れず蓄積されていく。