世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
このマンションは住人の入れ替わりが激しくない。だから、ここに住んでいる者そうでない者の区別がつきやすい。
それにしたって、あまりに不健康そうで、目が血走っているその男は見るからにおかしい。
「……なにしてんの」
「っ!……え、あ、あの、ここに知り合いがっ」
「だったら連絡でもして早く出てきてもらった方がいいよ」
「……それは」
「あと、この辺不審者が多いから警察が巡回してる」
「!!」
男は総一郎の言葉に途端に顔を真っ青にし、慌てたようにその場から走り去っていった。
あれは完璧に不審者だ。マンションの管理人に連絡を入れた方がいいかもしれない。
それに、あかりにも話しておかなければ。
あかりには間違えても怖い思いをして欲しくない。いつでも明るく幸せそうに笑っていて欲しい。
総一郎は自分の感情が重たいとは気付いていない。