世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



「……あかり、ずっと泣いてた?」
「…………」
「すげー腫れてる」
「……っく、ぅ……」



 総一郎は思わずあかりの両頬を大きな手で包み、親指で目尻をすりすりと撫でる。あかりはひくひくとしゃくり上げながら、また泣き出してしまった。


 いつも幸せそうに微笑んでる優しいあかりが、こんなになるまで泣いてる。原因は? なんで? 


 けど、顔だけ見せろと言ってしまった手前、総一郎はその言葉をなんとか飲み込む。


 そして、あかりの涙を止めたくて、総一郎は頭をフル回転させる。



「……まだ涙出る?」
「ごめっ……まだ、止まらな……」
「謝んなくていーよ。それより、ぎゅってしていい?」
「え」
「泣いてる時、ぎゅってされると安心しない?」
「……いつも、する側だったから、分からない……」
「じゃあ強制」



 総一郎は、タオルケットごとあかりをぎゅっとした。

 


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