世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
そして、背中を優しくぽんぽんと一定のリズムで叩き、時折なでなでする。少しでもあかりの悲しみがなくなるように、ゆっくりと丁寧に。
一方あかりは、総一郎の胸に顔を押し付けられ、その温かさと心地よい心音を間近で感じ、涙が引っ込んでしまった。
そして、優しく不器用に自分に触れる大きな手に、言いようのない心地よさを感じた。
「……よ、よしよし……」
思わず耳を疑う。こんなにもされている側が不安になってしまうよしよしは初めて聞いた。
けど、その総一郎の一生懸命さが今のあかりにはたまらない。胸が温かいもので満たされていく。
あかりはこれまで、どんなに悲しいことがあっても、一人で割り切り乗り越えてきた。
いつも自分は頼られる存在でなければならない、だから、誰かを頼るなんてことを考えたことがなかった。
だけど、今あかりはとても、すごく、総一郎に頼りたい、打ち明けたいと思っている。