世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
何故こんな息子を置いていったのか、心配ではないのか。けれど、母は知っていた。
総一郎は典型的な末っ子気質で、ぽやっとしてて顔も良い。今まで何度ピンチに陥ろうと、総一郎が困った顔をすれば、不思議と必ず、その場にいる誰かが手を差し伸べてくれた。
何とかなるだろうと。母はとても楽観的だった。
そして、そんな楽観的な母のせいで、今総一郎は大変な状況だ。
総一郎は、身体に蓄積された疲れがピークを迎え、脳内を眠気に支配されていた。
とにかく眠い、今にも倒れ込んでアスファルトの上で寝てしまいそうな身体を引き摺り、何とかマンションに辿り着きオートロックを解除した。
そしてエレベーターに乗り、自宅のある階のボタンを押してから総一郎の記憶が飛んだ。総一郎は疲れが溜まり眠気のピークを迎えると、ほぼ記憶がないまま気力だけで身体を動かす。その状態だ。
とにかく、ほぼ無意識にエレベーターから降りると、総一郎は自宅の扉の前で力尽きた。