世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
「……お、俺だってこんなことしたくないっ……けど、あの子が思わせぶりなことするから」
「思わせぶりなことってなんだ」
「た、助けてくれたんだ。職場でミスした俺を……俺の手を握ってくれたんだっ……」
「…………」
「あれから、俺はあかりちゃんのことだけを想ってたのに……他所の男なんて助けて、ましてやまた別の男と一緒に住んでるなんて……とんだ、尻軽女じゃないか」
「……黙れ」
「お、オマエも騙されてるっ!話をさせろっ!あの子とっ……ぐっ」
「いいから黙れ。黙らないと殺しちまう」
総一郎は男の口を掌で塞ぎ黙らせると、肩から手を離し、胸倉を掴む。
そして、至近距離で男の醜く歪んだ顔を恐ろしく冷たい目で見つめると、口を開いた。
「あの人の優しさに触れておいて、それを仇で返そうなんて絶対に許さない。ましてや、傷付けるなんてもっての外だ」
「っ……」
「思わせぶりなんて軽い言葉に置き換えるなよ。そんな安っぽいもんじゃねーから」