世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
日々、世話好きなあかりから与えられる優しさ、裏表のない明るくて温かな人柄。その全てに総一郎は助けられている。
困っている人を放っておけない、当たり前なようで、当たり前にそれを行動に移せる人間は多くはないはずだ。
そんな中、躊躇わず行動に移し、助けたはずの人間がこうやって訳もわからない因縁をつけ、あかりを傷付け、涙を流させる。
こんな男の手を握り、心を掬い上げたあかりの優しさを返してほしい。もう二度と彼女の前に現れないでほしい。
総一郎のハラワタは煮えくり返っていた。向こうが手を出していない以上、正当防衛にはならないから殴ったらダメだ。……いや、少しならいいか? ダメだダメだ。
総一郎の思考がどんどん物騒になっていき、その表情は、さながら人一人殺めた殺人犯そのものだ。
簡単に言うとマジで怖い。
総一郎が限界を迎える寸前、遠くからこちらに走ってくる足音が聞こえた。