世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1
「オイ!!何してるんだ!!」
「はっ……なんでっ」
男の、元から青ざめていた顔から今度は血色がなくなり、真っ白になっている。
総一郎は、あかりが警察に連絡したくないという気持ちを汲み取り、この男が働くスーパーに前もって連絡をしておいた。個人経営なだけあり、たまたま残っていた店長が電話を取り、駆けつけてくれた。
大柄の店長は目を吊り上げ、男の首根っこを掴むと総一郎に勢いよく頭を下げた。
「本当に申し訳ない!!うちの弟が、本当に……本当にっ……コイツはどうしようもなくて……」
「……兄さん、違うんだっ……俺は」
「コイツ、何年も引きこもってて、田舎の両親から雇ってやってくれって言われて雇ったんです。けど、まさかストーカーして、不法侵入するなんて……」
「……兄弟ですか」
「恥ずかしながら」
店長は驚く総一郎を他所に、この世の終わりのような顔をする男の首根っこを引っ張りながら、本当に申し訳なさそうな表情をした。