世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1



「そ、総一郎くんっ、大丈夫だった?!」
「平気」



 部屋に居ろと言われたはずのあかりは、リビングのソファに落ち着きなく座っていた。そして、戻ってきた総一郎に気付き駆け寄る。


 総一郎は、不安げなあかりの表情を見て、今すぐに安心させてやりたいと思い、自分を見上げるあかりのほっぺたを両手で包み優しく撫でる。



「もう平気。あの男の身内に来てもらったから。遠くの実家に戻すって」
「……そっか、ごめんね。迷惑掛けて」
「あかり、違う」
「違う?」
「謝るのは違う」



 心底申し訳なさそうに謝罪したあかりに、総一郎は堪らない気持ちになった。そうじゃない、謝ってほしいなんて思っていない。


 あかりが一番辛くて怖かったはずなのに、こんな時まで他人のことを考えてしまう。そんなあかりに対して、総一郎はどうしようもないもどかしさと、これまで感じたことのないほどの感情の昂り、甘くてムズムズとした落ち着かない感情を抱いた。



 その感情を、人は愛おしいと呼ぶ。



 総一郎は人間一年生なので、自分が何故あかりのことでここまで怒ってしまうのか、このムズムズはなんなのか、相変わらず解明に至らない。




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