世話好き女子がクーデレ男子を愛育した結果 1




 だが、総一郎は行動だけは早い。あかりのことを腕を広げ、むぎゅっと抱き締める。そして、細くて小さな体を包み込むように力を込め、首筋に顔を埋めると、あかりの匂いを胸いっぱいに吸い込む。



「総一郎くん?」
「……あかり」




 もはや、先ほどあかりを慰める為にしたハグは見る影もない。あったかくて優しくて愛おしいという気持ちを持て余しまくった総一郎による、とにかく自分本位のハグだ。


 あかりのそばにいて、あかりのことを守りたい。あかりが可愛くて、誰にも気も傷付けさせたくない。


 泣いている時に、これからも一番に助けてと頼ってほしい。


 そう、この気持ちを人は好意と呼ぶ。


 しかし総一郎は人間一年生なので、結局行き着く先は……。




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