僕は彼女の幸せを願う
僕は息を止めた。
僕が止められる時間は少しだけ。
そして止められる時間は公園の中だけだ。

時が止まった。

彼がやって来るまでの時間だけ稼げればいい。
彼はもう風船を子供に渡している。

彼女は僕を見ていた。
少し不思議そうな顔をして。

僕を見つめる彼女はやはり綺麗だった。

彼氏がやってきた。

僕は息を止めるのをやめた。

彼女は泣きながら彼氏に怒っている。
そんな彼女に彼氏は片膝をついて、手にしていた小箱を開けて、何かを囁いた。

彼の服はボロボロ。
彼女の化粧もボロボロ。

だけど彼女の涙は嬉し涙に変わっていた。

2人は幸せそうだ。

僕はきっともうすぐ彼女に会えなくなる。
もしかしたらもう会えないかもしれない。
それでも彼女が幸せならそれでいい。

その時、遊具で遊んでいた子供が僕を見て言った。
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