離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 すごくシンプルに言っているようだが、そもそもそれがおかしい。なんだか頭痛がしてきたような気がしてこめかみを押さえる。

「あの、いいですか? わたしたち離婚するんだよ。だから離れて暮らすためにわたしが引っ越すことに決めたの。それなのに慶次さんが一緒に引っ越してきたら意味ないじゃない!」

 さすがに今回ばかりはわたしは間違っていない。これまで慶次さんが間違ったことを言ったことはないけれど、今回はどんなに考えてもわたしの意見の方が正しいに決まっている。

「ははは、和歌のそんな顔初めて見たかな」

 わたしはこんなに真剣なのに、彼はなにがうれしいのかずっと笑っている。

「慶次さん。これは笑い事じゃないんですよ」

「ああ、ごめん。でも俺たちってお互いのこと、わかってなかったんじゃないのか?」

「え?」
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