離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く


「そんなことないです。小田嶋さんはすごくカッコいいです!」

「えっ、あぁ。ありがとう」

 わたしの勢いに小田嶋さんは少々面食らったようだった。

「あ、いえ、あの、どういたしまして?」

 いや絶対、この返しは違う! でももう口に出してしまったのだから仕方ない。

「あはは、いや。笑ってごめん。でもかわいいなと思って」

「かわいい? わたしが?」

「うん、思っていることが素直に顔に出るタイプだって言われない?」

「あ、言われます。出てますか? そんなに」

 確かに隠し事が苦手なタイプではある。だけど初対面の人にばれてしまうなんて困った。

「ああ、でもそれは俺が君のことをよく見てるからかもしれない」

「そ、そうなんですか?」

『よく見ている』と言われて急に意識してしまい、恥ずかしくなった。彼の方を見られなくなり、目を逸らす。

「ははは、行きましょうか」

 彼が笑い歩き出したのが足元を見ていてわかったので、そのままついていく。彼の大きな背中を思わずジッと見てしまう。紳士的な大人の男性。身のこなしも優雅で落ち着いている。

 それだけでもすごい人だと思うのに、先ほど彼が経営している会社を聞いて驚いた。

 彼が社長を務める『株式会社テックコントラクト』と言えば国内最大手のIT企業。通信ビジネスから派生して今や様々なサービスを提供する一大企業だ。
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