離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
第四章 嫉妬は恋のスパイス
第四章 嫉妬は恋のスパイス
四月の下旬、週末の居酒屋。
わたしは近況報告を兼ねて唯と会っていた。
「かんぱーい」
唯はビール、わたしはカシスソーダに口をつける。この間引っ越し祝いに部屋に来てくれたのに、これまで学校で毎日顔を合わせていたせいか、話たいことがたくさんある。
「はぁ、もう。死ぬ。今日も仕事で色々やらかした」
唯の第一声に笑いそうになったけれど、その気持ちはわからなくもない。
「わたしも一緒だよ。なんだかね、わたし本当になにもできないんだなって思わない?」
「わかる」
わたしの言葉に唯が頷いた。井上さんは『みんなそんなものだよ』と言ってくれるが、毎日周囲と比較してなにもできなくて落ち込む。
「働くって大変だね。って、愚痴はもちろん聞いてほしいんだけど!」