離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
わたしと慶次さんの間にはなかったな。ふと寂しくなった時に店の人からラストオーダーだと言われた。
「ねえ、まだ飲みたい! 和歌の家、行ってもいい?」
「え、別に構わないけど」
「俺も高級マンションの部屋見てみたい」
「じゃあ決まりね」
最後は少し強引に押し切られた感じもあったが、まだ色々話をしたかったわたしは唯たちを部屋に招待することにした。
唯は引っ越しして一度だけ遊びに来たことがある。まだちゃんと片付いていなかった時だったので、実質部屋らしくなってから人を招き入れるのは初めてだ。
「うわ~外から見てもすごい豪華だな」
卓哉くんがエントランスを前にして声をあげる。
「ちょっと、卓哉ったら恥ずかしいからやめて」
「別にいいだろ。俺は一生住めないだろうし」
「わからないよ。たまたま部屋のオーナーが格安で貸してくれたから。運がよかっただけ」
そう、わたしだってこのレベルのマンションの相場を払うとなると厳しい。