離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「いや、ちょっと待って。なにか誤解してる。卓哉はわたしの彼氏なんで」

「はぁ? お前、彼女がいるのに和歌に手を出したのか」

「違う、違う!」

「とにかく中で話をしましょう。和歌、早くドア開けて」

「あ、うん。わかった」

 そして結局、慶次さんを交えた四人で部屋で話をすることになった。

「で、本当に君は和歌を誘惑しようとしていたわけじゃないんだな」

「はい、もちろんです」

 慶次さんの言葉に卓哉くんはピシッと姿勢を正している。まるで上司に怒られている部下のようだ。

 慶次さんは前髪をかき上げて大きなため息をついた。

「勝手に誤解した俺が悪かった。すまない」

 慶次さんが頭を下げた。

「いや、あの状況だと誤解しますよね。奥さんだし」

「あぁ、妻が迷惑をかけた」

「妻ねぇ」

 慶次さんの言葉に唯がひっかかったようだ。いつもならそんな態度は取らないのに、唯お酒が入っているせいか気が大きくなっているみたいだ。

「慶次さん、この際だから聞きますけど。和歌のことどう思ってるんですか?」

 一瞬にして場の空気が凍った。

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