離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
「でも一番大事なのは楽しく飲むこと。ほら、このチーズうまいから一緒に」
かいがいしく世話を焼かれる。そういえば外で食事に行く以外で、一緒にお酒を飲んだのは初めてだ。
「お酒を教えてくれるっていう約束、守ってくれてありがとう」
「ああ、楽しんでるしお礼を言われるようなことじゃない。俺もたまにつぶれるからいい先生だとは言わないけどな」
そういえば離婚を切り出した日、彼は泥酔していた。いつも自分を律している彼があんなふうになるのは珍しい。
「酒以外にも和歌に教えたいことたくさんあったのにな」
そんなこと言われたら、すぐに離婚を撤回したくなる。いや、でも考えて出した答えなんだから簡単に考えを変えるのはよくない。
ぐいっとワインを飲むと体が内側から熱くなってきた。どうやら慣れないワインに急に酔いが回ってきたみたいだ。