離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 目の前にいる慶次さんの顔が、歪んで見える。

 あれ? 大丈夫かな。

 気持ちが悪いということはない。

「和歌、さっき唯さんが言ってたことだけど……」

 急に慶次さんが大事な話をし始めた。けれどわたしはちゃんと彼の言葉を理解できるような状態じゃない。

 今一番聞きたいことなのに、どうしてこんな時に限って。お酒を飲んだことを激しく後悔した。

「俺は和歌のことを――」

 わたしのことを、どう思っているの?

 聞きたい、聞かなきゃいけない。なんとか返事をするけれど、内容は全然頭に入ってこない。どうしよう……しっかりして、わたし。

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