離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
……う~頭痛いっ。頭がガンガンする。
完全に飲みすぎた。もう当分お酒は飲みたくない。
頭を押さえて寝返りを打とうとするが、体の自由が利かない。目を開けたわたしが見たのは、目の前にある慶次さんの寝顔だ。
「……っ」
驚きで大声をあげそうになって慌てて口を押さえた。なんで慶次さんがっ?
そう思って眠る前のことを思い出そうとする。慶次さんに色々とお酒について教えてもらっていて、急に気持ちが悪くなってそれから……えーっと、記憶がない。
わたしは目をつむって、自分の失態を反省した。
以前もこんなことがあった。あの時はたしか今とは逆で慶次さんの方が酔っていて……目覚めた彼が慌ててベッドから落ちそうになったんだっけ?
今日もまた彼が驚いてしまうかもしれない。起こす時は慎重にしなくては。どうにかして腕の中から逃げようと、とりあえず反対を向いてベッドから出ようとする。
慶次さんに背中を向けた瞬間、いきなりぐっと引き戻されて彼に密着する。
「どこに行く気?」
「えっ」
腰のあたりに添えられた手に力がこもる。これではベッドから出られない。
慶次さんってば起きていたの?
「あの、いや、なんでこんなことに?」
とりあえず記憶がないのだから、事情を知っている彼に聞くしかない。
「和歌が俺の手を離してくれなかったから」
「そ、そんなこと、わたしがっ?」
お酒を飲んでいたせいか、そんな大胆なことまで。お酒でこんな失敗するなんて思ってもいなかった。
「でも俺の意志でもある。嫌だったら帰ってるさ。だからもう少し。今日は休みだ」