離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 ぐいっと引き寄せられてますます体が密着する。首筋に慶次さんの吐息がかかり、くすぐったいのと同時に言葉で表せない甘い感情が湧き上がってくる。

 祖父から結婚祝いにもらったこのベッドで過ごすのに一年半以上かかった。思い描いていたものとは随分違うけれど、それでも彼の腕の中は恥ずかしいが、とても心地よかった。

 それは二日酔いの体調の悪さを吹き飛ばすほどだ。だからわたしは昨日彼の大切な言葉を聞き逃したことをすっかり忘れて、彼の体温を感じながら甘い時間を過ごした。

 もしかしたら慶次さんとわたしは新しい関係が築けるかもしれないと、淡い期待を抱いて。

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