離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
でも慶次さんが秘書ではない女性を連れているということで、しばしばわたしにも注目が集まる。
最初はどこの誰だかわからないわたしを品定めするように見ていた相手も、白木豊の名前を出すとみな一様に納得したように笑顔になった。
祖父のすごさを思い知ると同時に、自分の価値がそれしかないように思えてちょっと傷つく。確かに祖父がいなければわたしが慶次さんと出会うこともこの場にいることもないのだけれど。
今もまた祖父の話になった。
「おじいさまは元気かな。久しぶりに囲碁でもしたいな。和歌ちゃんの淹(い)れたお茶も飲みたい」
石橋さんは銀行の頭取で祖父の囲碁仲間だ。わたしもよく知っている人。しかし祖父は体調が悪いことを公表していないので、にっこりと言葉を交わす。
「祖父もきっと同じように思っていると思います。またぜひいらしてくださいね」
ここで色々と話してしまうと都合の悪いこともある。そのくらいのことはわきまえているつもりだ。
「石橋さん、和歌が目当てじゃないでしょうね。困りますよ、和歌は私の大切な人なんでね」
「ちょっと、慶次さん」
最初はどこの誰だかわからないわたしを品定めするように見ていた相手も、白木豊の名前を出すとみな一様に納得したように笑顔になった。
祖父のすごさを思い知ると同時に、自分の価値がそれしかないように思えてちょっと傷つく。確かに祖父がいなければわたしが慶次さんと出会うこともこの場にいることもないのだけれど。
今もまた祖父の話になった。
「おじいさまは元気かな。久しぶりに囲碁でもしたいな。和歌ちゃんの淹(い)れたお茶も飲みたい」
石橋さんは銀行の頭取で祖父の囲碁仲間だ。わたしもよく知っている人。しかし祖父は体調が悪いことを公表していないので、にっこりと言葉を交わす。
「祖父もきっと同じように思っていると思います。またぜひいらしてくださいね」
ここで色々と話してしまうと都合の悪いこともある。そのくらいのことはわきまえているつもりだ。
「石橋さん、和歌が目当てじゃないでしょうね。困りますよ、和歌は私の大切な人なんでね」
「ちょっと、慶次さん」