離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
今回は仲人を立てないカジュアルな見合いだ。さすがにひとりで見合いに臨む勇気がないので、お相手の方と知り合いである祖父に同席してもらう。
「お久しぶりです。ご無沙汰しております」
「いい、いい。かたい挨拶は。若いモンが忙しいのはいいことだ」
にっこりと笑いながら祖父は男性の前の席に座る。
次いで男性が頭を上げた時、わたしは初めて彼の顔を見た。そう、お見合いにもかかわらず、わたしは彼の顔を初めて見たのだ。
ドキッとして一瞬で心拍数が上がる。
どうして事前に写真を確認しなかったの? 過去のわたしを責めたところでもう遅い。どうせ確認していたところで、彼を間近で見たらわたしの心臓は今と同じくらいうるさく音を立てたはずだ。
まさか、こんなにカッコいいなんて。
背はすごく高くて百八十センチは超えていそうだ。
年齢は十歳ほど上、おそらく三十歳ぐらいだろう。ベージュのスーツは着る人を選びそうなのに、彼の明るい雰囲気にマッチしていてとても似合っている。
それになんといってもその顔立ち。きりっとした眉に髪と同じく少しだけ茶色い瞳。高い鼻梁、形のいい唇。どこをとっても完璧。振り向かない人なんていないんじゃないかと思うほど整った顔の彼を見て、わたしの時は一瞬止まった。