離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
はぁ、ここは俺が出ていくしかないか。
幸いふたりとは顔見知りだ。お互い引くに引けなくなっているのだから、第三者が入るしかないだろう。
俺が中庭を突っ切ってふたりのいる場所に向かおうとした時、ひと足先に小柄な女性がお盆を持って、つかつかと結構な勢いで縁側に登場した。
あれは和歌さんだ。大学生で子供だと思っていたが、白木さんがきちんと育ててきていたのだろう。廊下の歩き方、姿勢、立ち居振る舞いが美しい。凛(りん)とした雰囲気の女性。それが彼女に対する第一印象だった。
「おじいちゃん、それに石橋のおじさまが大声を出すので、みんな怖がっています」
「それは、こいつが」
「おじいちゃん、お友達をそんなふうに! ダメですよ」
「いや、それは」