離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
 驚いた。白木さんが孫に甘いというのは聞いていたが、まさかここまでとは。しかし驚くことは続く。彼女は客人である石橋さんにまで注意しはじめた。

「石橋さんも、子供みたいな喧嘩はやめてください」

「いやぁ、だって和歌ちゃん」

「だってもなにもないです。喧嘩をやめないなら、『大和(やまと)屋』の豆大福はわたしが全部食べちゃいますから」

 持ってきた豆大福がのったお盆を翁(おきな)たちに見せる。するとふたりの顔が緩んだ。

「ここはこの豆大福で仲直りしてください。いいですね」

 まるで母親のような口ぶり。しかしその顔はいやにキュートに見える。

 なんだすごくかわいい子だな。あの気難しいじいさんたちを手玉に取るとはすごい。
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