離婚するはずが、極上社長はお見合い妻に滾る愛を貫く
第二章 新生活?のはじまり
第二章 新生活?のはじまり
「どうしよう……でも、これ以上遅くなると慶次さん遅刻しないかな」
昨日の夜遅く、スマートフォンが鳴った。もしかして慶次さんからかもしれないと思い電話に出たが、相手は彼の友人で部下の射水さんだった。彼がわたしに電話をかけてくるなんて珍しいこと。
慌てて出ると、慶次さんが酔ってしまって介抱してほしいという連絡だった。
彼はわたしたちの結婚を知っている数少ない人物のひとり。夫が体調不良ならわたしに連絡してくるのはあたり前だ。たとえ離婚を切り出した後だとしても、彼はそれを知らないのだから仕方ないことだ。
慶次さんが寝過ごすことなんてめったにない。時々深酒をすることが今までもあったが、それでも彼は翌朝、いつもと変わらない様子でパリッとスーツを着こなし、出勤していった。だが昨日は泥酔していた。
だからこそ今日は異常事態だ。その責任がわたしにあるのは間違いない。
いくら慶次さんのためだと言っても、わたしなんかから離婚を切り出されて彼のプライドを傷つけてしまったのかもしれない。