幸せな呪い


「あー、もうっ! 私が何か悪いことでもしたっていうの!」

サークル仲間二人に慰められながら、居酒屋でいちごチューハイを片手に愚痴る。
私のコメントには『いいね』が沢山付けられた。
けれど、それが気に入らない人達は、私の個人アカウントを攻撃する作戦に出た。
その間、ほんの三時間程度。
午後の授業が終わってスマホを見たら、大変なことになっていたのだ。

「悪いことはしてないけど、こういう攻撃的な人って自分の顔が見えないのをいいことに、とことん弱味を握ろうとするからさー。怖いよね」

「マジで怖い。もう大学も私の本名もバレちゃったんじゃないかな」

「あのさ、怖いと思うけど念のためエゴサしてみたら?」

「う……うん……」


二人にも手伝ってもらいながら『上田優』でエゴサしてみる。
同姓同名が沢山いることに今、生まれて初めて感謝した。
名前だけでは違う人物がヒットするので、恐る恐る『医ケア児 K大学 上田優』で検索。
すると、完全一致ではないものの、ヒットしたブログがあったので覗いてみた。


【トーヤの育児日記】
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