幸せな呪い

開設はおよそ十年前。
元気な赤ちゃんの写真と、ベッドで寝ている男の子の写真が掲載されたトップページを見て、これは『とうや君』のことだとすぐに気づいた。
ブログランキングの育児部門で、かなり上位に来ているようで驚いた。
『とうや君』のお父さん、実は人気ブロガーだったらしい。

検索して最初に出てきたのは、私が実習へ行った日のことだったようだ。


『今日、トーヤの学校にK大学から介護等体験の実習生が来ていました。医ケア児に実習生が付くことはないけれど、たまたま出会った実習生——仮にUさんとしておきます——は、とても素直で優しい女子大生でした』


Uさんって……読みが一致しているのは狙っているのだろうと思った。
素直で、というところは頷ける。何でもすぐ顔に出てしまうから。
でも優しいかどうか、あのほんのわずかな時間ではわからないんじゃないだろうか。

それでも、少なくともここまでは私のことを好意的に受け入れてもらっているらしいので、ドキドキしながら続きを読む。


『Uさんがトーヤを初めて見たとき、明らかに戸惑っていました。それが、医ケア児を前にした子の素直な反応だと思います。でも、パルスオキシメーターが繋がったままのトーヤの手を慎重に握って『はじめまして。トーヤ君の手、あったかいね』と言葉をかけてくれました』