Tear Flowers〜奪われた未来〜

「さっき、捜査一課の方にバスジャックの連絡が入った。そのジャックされたバスの中に……シオンさんとフィオナさんが乗ってる」

ガタン、と大きな音が響いた。エヴァンが勢いよく立ち上がったせいで、椅子が倒れたのだ。しかし、それを気にすることなくエヴァンは刑事に詰め寄る。

「バスは今どこにいるの？人質の安否は？犯人は何人？こうしちゃいられない！」

エヴァンはパニック状態のまま外に出ようとする。彼の頭の中には、フィオナという誰よりも大切な愛しい人を失ってしまうかもしれない恐怖だった。

「おい、落ち着け！」

出て行こうとするエヴァンの手をフリージアが掴む。そして、泣き出しそうになるエヴァンの肩に手を置き、まっすぐ見つめた。

「あの頭のいい二人なら、絶対に他の乗客を守りつつ、自分の身も守れる。あの二人が動けない今、俺たちがパニックになっていたら話にならない。……あの二人の代わりに、俺たちが事件の調査をするんだ」