Tear Flowers〜奪われた未来〜
「それにしても、あの無表情だと思っていた女、泣けたんだな」

スコープ越しに見た十代の女性の泣きじゃくった顔を思い出し、男性は一瞬足を止める。その顔は楽しそうにしていた。



「警察だ!大人しくしろ!」

同じ頃、エヴァンたちは遺体を盗んでいた人物を突き止め、その人物を拘束するために家を訪れていた。

「や、やめろよ!俺は何もしてねぇ!」

犯人は抵抗したものの、フリージアとサルビアが取り押さえ、捜査一課に引き渡す。犯人の目的は、シオンが推理した通り冥婚を行いたい人に遺体を売り付けて大金を得ることだった。

「これで事件は解決ね!ケーキ、楽しみだわ」

レティシアが鼻歌を歌いながら言い、レイモンドが「シオンさんとフィオナが無事か確認してからね」と苦笑する。

「あの二人ならきっと大丈夫ですよ」

サルビアがそう言い、エヴァンも頷く。特殊捜査チームのリーダーと何でもこなす捜査員だ。二人なら誰も傷付けさせることなく事件を解決してくれる、そう誰もが思っていたからこそ、みんな笑っていた。
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