Tear Flowers〜奪われた未来〜
その刹那、エヴァンのスマホが鳴り響く。フィオナから電話がかかってきていた。

「フィオナの方も事件が片付いたみたい!」

みんなで紅茶やコーヒーを飲みながらケーキを楽しみたい、わくわくしながら電話に出る。

「もしもし、フィオナ。どうしたの?」

電話に出たエヴァンは、ニコニコとしながら話す。しかし次の瞬間、フィオナの口から言われた言葉に表情を失ってしまった。



冷たく、重い空気が流れる遺体安置所。光を失った目でフィオナが見つめる台には、シオンの冷たくなった遺体が乗せられ、布がかけられている。彼女の死因は失血死だと検視官に言われたものの、フィオナの耳には入ってこない。

「フィオナ!!」

ドアが開き、エヴァンたちが息を切らせながら入ってくる。そして、目の前で変わり果てたシオンを目の当たりにし、体を震わせた。

「シオンさん……」

レティシアがシオンの手に触れ、涙をこぼす。サルビアたちも「どうして」と言い、泣き始める。
< 34 / 37 >

この作品をシェア

pagetop