Tear Flowers〜奪われた未来〜
「ケーキか……。食べるの何年ぶりだろう……」

フリージア・テイラーが絵を描く手を止めてフィオナとエヴァンの方を見る。エヴァンはニコリと笑い、「フリージアさんもきっと気に入りますよ」と言った。

ケーキをエヴァンが持って行ったからか、レティシアとレイモンドがおいしいスイーツの話を始め、サルビアとエヴァン、そしてエヴァンに引っ張られてフリージアも話の輪に入っていく。それを見ていたフィオナの手を、リーダーであるシオン・アカツキが引いた。

「フィオナ、ちょっといいか?言わなければいけないことがある」

「はい。大丈夫です」

シオンに手を引かれたまま、フィオナは賑やかな部屋の外へと出る。ドアを閉めた後、シオンが「マフィアの殺害事件、覚えているか?」と口を開いた。フィオナは大きく頷く。

マフィアが殺害される事件がある街で起こっていた。殺害された遺体は、どれも恐ろしく残酷な拷問を受けており、黒いバラの花びらが撒かれていた。フィオナたちはその事件を調査し、犯人を拘束して捜査一課に引き継いだ。
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